製品コラム UBE Solution Academy
ナイロン
エンジニアリングプラスチックの中でもバランスの取れた材料として幅広い用途に使用されており、
継続的な市場拡大が見込まれているナイロンについて、特性や特徴、用途などの切り口からご説明。
Overview 素材概要
ポリアミド(ナイロン)は
プラスチックの仲間です
「ポリアミド」という化学名を聞いたことはなくても、「ナイロン」(一般名称)と言われると身近に感じるでしょう。ナイロンは樹脂の弱点である耐熱性を改善したエンジニアプラスチック(強度と耐熱性に優れたプラスチックのこと)であり、さまざまな優れた特性を持つ高機能樹脂の一つです。
なかでもポリアミド系樹脂は種類も多く、とても頑丈で、熱に強く、さまざまな形に姿を変えられる万能な材料です。この特性を生かして、スーパーで売られているお肉やお魚を包む食品包装フィルムをはじめ、バスケットボールやスニーカーシューズといったスポーツ用品、高度な耐久性が要求される自動車の部品、家庭電化製品、衣料品、日用雑貨、玩具に至るまで、私たちの暮らしを支える製品に使用されています。
Features ナイロンの特徴
用途に合わせて
自在に変化する魔法の素材
ナイロン樹脂は、エンジニアプラスチックのなかでも加工しやすく、バランスの取れた材料として幅広い用途に使用されています。ただし、素材(ポリマー)をそのまま製品材料として使うことはほとんどありません。求める製品の機能や使用条件を考慮して、いろいろな配合剤を練り込み、成形材料(ペレット)にするのです。
ポリアミドにはさまざまな物質との親和性があり、添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など)、着色剤(染料、顔料)、強化剤(ガラス繊維、炭素繊維など)、充填剤などを配合できるため、用途に合わせて素材を自由に変化させることができます。
優れた耐摩耗性(摩擦に強い)でシワになりにくく、しかも害虫を寄せつけないため、一般には衣類の素材として知られていますが、自動車のエンジン回りの部品や電気の絶縁性が必要な製品にも使われています。
ユニークなプロセスで
さまざまな課題を解決!
ナイロンには多くの種類があり、現在、広く使用されているものに「ナイロン 6(PA6)」「ナイロン 66(PA66)」「ナイロン 12(PA12)」があります。
耐久性(強度)と耐熱性に優れた「ナイロン6」、「ナイロン 6」よりさらに耐熱性・機械的強度に優れた「ナイロン 66」は、代表的なナイロン樹脂です。この特性によって衣料品から工業用品まで幅広い用途で使用され、工業品に至っては金属の代替品としても使用されるほどです。
「ナイロン 12」はポリアミドのなかでもっとも密度が低く、耐寒衝撃性、耐候性が高いのが特徴で、特に低温での特性に優れている点がほかのナイロンとの大きな違いです。そのなかでもUBEが生産する UBE ナイロン12(UBENYLON PA12)は、独自の連続重合プロセスによってペレットや最終製品の品質、および物性の安定性に優れ、次のような特長があります。
1.吸湿性が少なく、寸法変化が小さい
(寸法安定性が高い)
2.低温に対する特性がよい
3.耐衝撃性がよい
4.加工性がよいので、
複雑形状品の成形に適している
5.耐候性に優れている
6.金属との接着性がよい
また、UBE ナイロン 12 をベースにしたポリアミドエストラマー(UBESTA XPA)は、ナイロン 12 の特性に加え、プラスチックとゴムの境界領域を補う柔軟性、透明性に優れ、高い品質でさまざまな課題を解決できる手段として、世界中から評価されています。
History ナイロンの歴史
半世紀以上の歴史を持つ
UBEナイロンとは?
UBEでは独自のナイロン原料(モノマー)を駆使し、「ナイロン 6(PA6)」と「ナイロン 12(PA12)」をベースにさまざまなナイロン樹脂をつくっています。自社工場ならではの安定した品質と生産性、求められる機能への技術対応力が UBE ナイロンの特徴であり、強みです。
その歴史は長く、すでに 50 年以上。今や世界的なブランドとしてその名を確立しています。
- 1959年
- 宇部ケミカル工場にてナイロン6重合設備完成・稼動開始
- 1977年
- 宇部ケミカル工場にてナイロン12パイロットプラントが完成
- 1979年
- 宇部ケミカル工場にてナイロン12重合設備完成・稼働開始
- 1995年
- UBE Nylon (Thailand)Ltd..設立(タイ法人=UNT)
- 2001年
- UBE Engineering Plastics, S.A.設立(欧州法人=UEP)
- 2002年
- タイにてナイロンコンパウンド設備完成・稼働開始
- 2004年
- スペインにてナイロン6重合設備完成・稼働開始
- 2010年
- タイにてナイロン6重合設備増設・稼働開始
- 2012年
- タイにてナイロンコンパウンド設備増設・稼働開始
- 2015年
- スペインにてナイロン6重合設備増設・稼動開始
- 2017年
- スペインにてナイロンコンパウンド設備増設・稼動開始
- 2018年
- スペインにてナイロン6重合設備増設・稼動開始
Applications ナイロンの用途
私たちを守り、暮らしを豊かにするナイロン製品
素材を自由に変化させることができるナイロン。たとえば高温で長時間使用することを目的とした製品には熱による劣化を防ぐ酸化防止剤を、屋外やレジャーで使用するプラスチック製品の変色や割れを防ぐためには紫外線吸収剤を添加します。また、耐久性(強度)や弾性率を向上させるため繊維強化剤を充填してできたペレットは、さまざまな製品に使われ、快適な暮らしの実現に貢献しています。
こうしてできるナイロン製品には、風雨に強いアウターやジャケット、スポーツウェア、靴やスニーカーシューズなどがあり、私たちの身を守ってくれています。また、カーペットや家具、カーテンなどインテリア用品にも使われ、丈夫で安全・安心な上に、目にも楽しいのです。ファッション小物、靴やスニーカーシューズ、アウトドア製品、商品包装、釣り糸、漁網、また楽器の弦などにも使用され、私たちの暮らしを豊かにしています。
暮らしのなかに
いつもある。
UBEのナイロンフィルム
UBEナイロンの用途は幅広く、衣料品から産業・工業用品まで多岐にわたっています。形も繊維、フィルム、シート、パイプ、板、丸棒、チューブなどさまざまなものがあります。
特に用途が広いものの一つがナイロンフィルムです。UBEでは主に「延伸フィルム」と「共押出フィルム」をつくっています。
「延伸フィルム」は破断・突刺強度、酸素バリア性、耐ピンホール性などに優れ、食品包装や機械部品包装に広く使用されています。たとえば、インスタントラーメンの液体スープが入っている三方シール袋、おにぎりや菓子パン、冷凍食品が入ったピロー袋、シャンプーや柔軟剤、ゼリー飲料、醤油などの調味料が入ったキャップ付きパウチ容器、レトルトパウチなどに使われるほか、リチウムイオン電池(Libバッテリー)や冷蔵庫の真空断熱材としても使用されます。
一方の「共押出フィルム」は何度曲げ伸ばしても亀裂が起きにくく、酸素バリア性、シール性、水蒸気バリア性が高いなど、食肉の包装などに向いています。ハム・ソーセージを包むシュリンクフィルムや深絞りフィルム、ソーセージケーシング、箱入りワインなどに入っている液体容器としての用途もあります。
暮らしのなかにいつもある。それがUBEナイロンです。
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