ユーピレックス® 超耐熱性ポリイミドフィルム

ユーピレックス®

UBEの自社生産品であるBPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)を原料とした、UBE独自組成の超耐熱性ポリイミドフィルムです。特に寸法安定性、低吸水性、耐薬品性に優れています。

グレード詳細

ユーピレックス-S 製品写真

ユーピレックス-S

UBEのポリイミド「ユーピレックス®」の基本となるグレードです。
ポリイミドの中でも非常に高い剛性と耐熱性が特長です。
アウトガスが少なく、表面平滑性と耐薬品性に優れます。


「ユーピレックス-S」の品番と面積係数

タイプ 品 番 厚さ(µm) 幅*(mm) 面積係数(m2/kg)
ユーピレックス®-S 12.5SN 12.5 508,514 54.4
25S 25 508,514/1016,1028 27.2
50S 50 508,514/1016,1028 13.6
75S 75 508,514/1016,1028 9.1
125S 125 508,514 5.4

その他の幅については、別途ご相談ください。

(1)機械的特性

「ユーピレックス® -S」は、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を示します。「ユーピレックス® -S」は、高い引張り強さと弾性率が特長で、長期耐熱性にも優れています。また、耐加水分解性に優れているのも大きな特長で、沸騰水中に長時間浸しても物性変化がほとんどありません。

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -S) 測定方法
25S 50S 75S 125S
-269℃ -196℃ 25℃ 300℃ 25℃ 25℃ 200℃ 25℃
引張り強度 MPa 740 650 520 290 460 360 270 340 ASTM D882
5%伸長時応力 MPa - - 260 90 - 210 110 - ASTM D882
伸び率 10 20 40 70 50 50 80 60 ASTM D882
引張り弾性率 GPa - - 9.1 3.7 9.3 6.9 3.8 7.6 ASTM D882
引裂き強度
Graves
N/mm - - 600 - - 470 - - ASTM D1004
引裂き伝播抵抗
Elmendorf
N - - 3.2 - - 4.2 - - ASTM D1922
耐屈曲回数MIT Cycles - - >100,000 - - >12,000 - - ASTM D2176
密 度 ×103kg/m3 - - 1.47 - 1.47 1.47 - 1.47 ASTM D1505
動摩擦係数
(フィルム間)
- - - 0.4 - - 0.4 - - ASTM D1894

(2)電気的特性

「ユーピレックス® -S」は、広い温度範囲、周波数範囲にわたって優れた電気特性を示します。特に高温で電気特性の低下が少ないのが、他のプラスチックフィルムには見られない特長です。さらに絶縁欠陥が少なく、高信頼性を要求される電機・電子分野に最適です。

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -S) 測定条件 測定方法
25S 75S
25℃ 200℃ 25℃ 200℃
絶縁破壊電圧 kV 6.8 6.8 11 11 60Hz ASTM D149
誘電率 - 3.5 3.3 3.3 3.2 1kHz ASTM D150
- - 3.5 - 1MHz ASTM D150
誘電正接 - 0.0013 0.0078 0.0038 0.0056 1kHz ASTM D150
- - 0.0049 - 1MHz ASTM D150
体積抵抗率 Ω・m >1014 >1013 >1014 >1014 DC 100V ASTM D257
表面抵抗率 Ω >1017 >1015 >1016 >1015 DC 100V ASTM D257

(3)熱的特性

「ユーピレックス® -S」は、あらゆるプラスチックフィルムの中で最高の耐熱性を有しています。熱分解開始温度が高い、加熱収縮率と線膨張係数が小さい、難燃性(UL94 V-0)である等の特長があります。このため加熱による寸法変化が小さく、微細回路を持つTABやFPCのベースフィルムに最適です。

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -S) 測定条件 測定方法
25S 50S 75S 125S
線膨張係数
(50~200℃)
ppm/℃ 12 16 20 22 昇温速度5℃/min 微小線膨張計
加熱収縮率 0.05 0.02 0.01 0.01 200℃、2時間 ASTM D1204
融 点 なし - -
比 熱 kJ/(kg・K) 1.13 - 示差熱量計
耐熱寿命
(引張り強度)
290 20,000時間 固定温度法
耐燃焼性 - V-0 - UL94
酸素指数 66 - JIS K7201
熱伝導率 W/(m・K) 0.29 厚さ方向 レーザーフラッシュ法

(4)化学的特性

「ユーピレックス -S」化学的特性 写真 「ユーピレックス® -S」は、あらゆる有機溶剤に不溶であり、その他の酸、アルカリなどほとんどの化学薬品に対しても十分な耐性を有しています。これらの耐薬品性は、単に物性保持率が高いだけでなく、寸法変化率が小さいのも特長です。各種自動車用オイル(エンジンオイル、ブレーキオイル、ガソリンなど)への耐性も強く、車載向けにも使用できます。

項 目 標準値(ユーピレックス®-25S) 測定条件 測定方法
強度保持率
(%)
伸び保持率
(%)
弾性保持率
(%)



10%苛性ソーダ 80 60 95 25℃5日間浸漬 ASTM D882
氷酢酸 100 95 100 110℃ 5週間浸漬
PH=1.0 95 85 100 100℃ 2週間浸漬
PH=4.2 95 85 100 100℃ 2週間浸漬
PH=8.9 95 85 100 100℃ 2週間浸漬
PH=10.0 95 85 100 100℃ 4日間浸漬
吸水率 1.4% 23℃ 24時間水中浸漬 ASTM D570
0.8% 50℃ RH60% 平衡




水蒸気 1.7×10-3kg/m2/25µm 38℃、RH90%、24時間 ASTM E96
酸 素 0.8×10-6m3/m2/25µm 30℃、1気圧24時間 ASTM D1434
炭酸ガス 1.2×10-6m3/m2/25µm 30℃、1気圧24時間 ASTM D1434

(5)フィルム特性の比較

各種耐熱性フィルムの一般的性質

項 目 単位 ユーピレックス®-25S 一般的な
ポリイミド
ポリエステル ポリサルホン ポリ四フッ化
エチレン
密 度 ×103kg/m3 1.47 1.42 1.38~1.41 1.24~1.25 2.1~2.2
引張り強度 MPa 520 170 140~250 60~70 10~30
伸び率 40 70 60~170 60~110 100~400
引張り弾性率 GPa 9.1 3.0 - - -
引裂き伝播抵抗
Elmendorf
N 3.2 3.1 4.9~10.8 3.9~4.9 3.9



有機溶剤 -
強酸 -
強アルカリ -
誘電率 - 3.5 3.5 3.2 3.1 2.1
誘電正接 - 0.0013 0.003 0.005 0.0008 0.0002

Modern Plastics Encyclopedia; McGraw-Hill, Inc., New York

(6)表面平滑性

「ユーピレックス® -S」は、表面粗さが小さく、非常に平滑な表面形態を有しています。そのため、他の高耐熱樹脂の製膜用キャリア材やクッション材、離型材としても好適に使用できます。加熱時のアウトガス量が一般的なポリイミドより極めて少ないため、真空や高温プロセスをともなう多くの用途に最適なフィルムです。

表面粗さ 単位 標準値(ユーピレックス® -S) 一般的な
ポリイミド
PET 測定方法
25S 50S 75S 125S
Rms nm 3.8 2.0 2.2 2.1 5.6 - 走査型プローブ顕微鏡
(スキャンエリア=10µm□)
Ra nm 2.1 1.2 1.3 1.1 3.2 22
Rz nm 64.9 60.3 57.8 51.5 100 -
「ユーピレックス -S」のAFM像 加熱時のアウトガス量
<キャリア材、クッション材料等、用途例>

「ユーピレックス® -S」をキャリア材として作製した樹脂被膜は、後で剥がせる適度な密着力を示します。また、得られた樹脂被膜は、非常に平滑な表面を有しています。
さらに、加熱時のアウトガス量が一般的なポリイミドより極めて少ないため、真空や高温プロセスをともなう多くの 用途に最適なフィルムです。

「ユーピレックス -S」のキャリア材、クッション材等 使用方法

「ユーピレックス® -S」と製膜品との密着強度

相手の樹脂 180°剥離
密着力
(N/10mm)
サンプル作製方法
(キャリア材=ユーピレックス®-25S)
種類 厚み(µm)
日東電工製 31B 34 3.0 31Bをキャリア材に室温で貼り付け
34 5.2 31Bをキャリア材に室温で貼り付け後、70℃×20hで放置
ニチバン製  LP24 42 2.1 LP24をキャリア材に室温で貼り付け
42 3.8 LP24をキャリア材に室温で貼り付け後→70℃×20h放置
エポキシ樹脂 38 1.21) キャリア材に塗工後、メーカー推奨条件で熱硬化
1) 90°剥離
エポキシプリプレグ 91 1.0 エポキシプリプレグを2枚のキャリア材で挟んで熱プレス
ユーピレックス®-25VT 25 0.08 ユーピレックス®-25VTを2枚のキャリア材で挟み、
320℃で予熱後に熱プレス。
ユピア®-ST(U-ワニス-S) 26 1.1 ユピア®-STをキャリア材に塗工後、Max400℃で熱硬化

ユーピレックス-RN

「ユーピレックス®-RN」は、成形加工性や耐環境特性などの優れた物理的特性を持っています。
その特性から、絶縁材用途の他、エンボス加工やスピーカーの振動板、航空宇宙分野材料などに使用されています。

  • 酸、有機溶剤に対する耐性に優れているだけではなく、アルカリに対しても強い耐性があります。
  • 耐熱性に優れ、電気的特性、耐放射線性などにも優れています。
  • 熱と力を加えることで良く伸びる特性をもっているため、絞り加工による立体成形が容易です。
    得られた成形品は強度に優れています。
  • 「ユーピレックス®-S」と比べ弾性率が低く、柔軟性があるため、リボン状のものをコイルなどの導体に巻くことで、優れた絶縁層を形成できます。

ユーピレックス-RN 製品写真 ユーピレックス-RN 製品写真 ユーピレックス-RN 製品写真

「ユーピレックス®-RN」の品番と面積係数

タイプ 品 番 厚さ(µm) 幅*(mm) 面積係数(m2/kg)
ユーピレックス®-RN 25RN 25 508 28.8
50RN 50 508 14.4
75RN 75 508 9.6
125RN 125 508 5.8

その他の幅については、別途ご相談ください。

(1)機械的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -RN) 測定方法
25RN 75RN
引張り強度 MPa 390 380 ASTM D882
伸び率 160 150 ASTM D882
引張り弾性率 GPa 3.9 3.9 ASTM D882
密 度 ×103kg/m3 1.39 1.39 ASTM D-1505-03
「ユーピレックス-RN」の応力-歪み曲線

(2)電気的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -RN) 測定条件 測定方法
25RN 75RN
絶縁破壊電圧 kV 7.1 13.9 60Hz ASTM D149
誘電率 - 3.4 3.5 1MHz ASTM D150
誘電正接 - 0.007 0.009 1MHz ASTM D150
体積抵抗率 Ω・m >1014 >1014 DC 100V ASTM D257
表面抵抗率 Ω >1015 >1016 DC 100V ASTM D257

(3)熱的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -RN) 測定条件 測定方法
25RN 75RN
耐熱寿命
(引張り強度)
270 270 20,000時間 固定温度法
耐燃焼性 - V-0 V-0 - UL94

(4)化学的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス® -RN) 測定方法
25RN 75RN
吸水率 1.4 1.7 ASTM D570

~機能強化グレード~金属箔との熱融着性向上 ユーピレックス-VT ユーピレックス-NVT

「ユーピレックス®-VT」「ユーピレックス®-NVT」は、「ユーピレックス®-S」と同等な特性を有するポリイミド樹脂層の両表面に熱融着性ポリイミド樹脂層を形成した、熱融着性ポリイミドフィルムです。
「ユーピレックス®-VT」「ユーピレックス®-NVT」と金属箔(Cu、SUS、Alなど)を熱プレスすることにより、基材が完全にポリイミド樹脂のみの高性能な電子回路用フレキシブル基板を作ることができます。 また、金属、セラミックなどの様々な材質、形状に対して張り合わせることが出来、接着フィルムとして応用可能です。

  • 接着剤を使用しない電子回路用フレキシブル基板が作れます。
  • 高強度で、引裂き抵抗が非常に大きい“タフ”なフィルムです。
  • 低吸水率、低寸法変化率、高耐熱性など「ユーピレックス®-S」 の優れた特長を継承しつつ、熱プレスによるラミネート加工性を付与しています。

ユーピレックス-VT ユーピレックス-NVT 製品写真 ユーピレックス-VT ユーピレックス-NVT 製品写真

「ユーピレックス-VT」「ユーピレックス-NVT」図

「ユーピレックス®-VT」の品番と面積係数

タイプ 品 番 厚さ(µm) 幅*(mm) 面積係数(m2/kg)
ユーピレックス®-VT 12.5VT 13 510, 520 54.9
20VT 20 510, 520 35.1
25VT 25 510, 520 28.0
50VT 50 510, 520 13.9

「ユーピレックス®-NVT」の品番と面積係数

タイプ 品 番 厚さ(µm) 幅*(mm) 面積係数(m2/kg)
ユーピレックス®-NVT 12.5NVT 13 510, 520 55.1
20NVT 20 510, 520 35.5
25NVT 25 510, 520 28.4
50NVT 50 510, 520 14.0

その他の幅については、別途ご相談ください。

(1)機械的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-VT) 測定方法
25VT 50VT
引張り強度 MPa 530 540 ASTM D882
引裂き強度 N/mm 3.0 4.3 IPC-TM-650 2.4.17.1
伸び率 90 90 ASTM D882
引張り弾性率 GPa 7.5 7.6 ASTM D882
密 度 ×103kg/m3 1.43 1.44 ASTM D-1505-03

(2)電気的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-VT) 測定条件 測定方法
25VT 50VT
絶縁破壊電圧 kV 7.2 10.5 60Hz ASTM D149
誘電率 - 3.2 3.3 1GHz Triplate-Line Resonator
3.2 3.3 10GHz Triplate-Line Resonator
誘電正接 - 0.005 0.004 1GHz Triplate-Line Resonator
0.007 0.007 10GHz Triplate-Line Resonator
体積抵抗率 Ω・m >1014 >1014 DC 100V ASTM D257
表面抵抗率 Ω >1015 >1015 DC 100V ASTM D257

(3)熱的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-VT) 測定条件 測定方法
25VT 50VT
線膨張係数
(50~300℃)
ppm/℃ 20 20 - 微小線膨張計
加熱収縮率 0.31 0.35 300℃、2時間 JIS C2318
5%重量減少温度 584 582 空気中 TG-DTA
耐燃焼性 - V-0 V-0 - UL94

(4)化学的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-VT) 測定方法
25VT 50VT
吸水率 1.1 1.4 ASTM D570
吸湿膨張係数 ppm/%RH 14 13 UBE法

~機能強化グレード~ 金属スパッタ、メッキとの接着向上 ユーピレックス-SGA

「ユーピレックス®-SGA」は「ユーピレックス®-S」の両表面に特殊処理を行い、接着性を向上させたポリイミドフィルムです。
表面接着性が高いことからスパッタやメッキ加工に好適で、高性能な電子回路用フレキシブル基板を作ることができます。
また、LOCパッケージのための接着テープ基材としても使用できます。

  • スパッタやメッキ加工では、接着剤を使用しない電子回路用フレキシブル基板が作れます。
  • ピール強度が高く、表面平滑性が非常に高いことが特長です。
  • 低吸水率、低寸法変化率、高耐熱性など「ユーピレックス®-S」 の優れた特長を継承しています。

「ユーピレックス-SGA」 製品写真 「ユーピレックス-SGA」 製品写真

「ユーピレックス-SGA」 図

「ユーピレックス®-SGA」の品番と面積係数

タイプ 品 番 厚さ(µm) 幅*(mm) 面積係数(m2/kg)
ユーピレックス®-SGA 25SGA 25 508 27.2
50SGA 50 508 13.6

その他の幅については、別途ご相談ください。

(1)機械的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-SGA) 測定方法
25SGA 50SGA
引張り強度 MPa 490 490 ASTM D882
伸び率 40 45 ASTM D882
引張り弾性率 GPa 10 9.7 ASTM D882
密 度 ×103kg/m3 1.47 1.47 ASTM D-1505
「ユーピレックス-SGA」の表面形態、ピール強度

(2)電気的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-SGA) 測定条件 測定方法
25SGA 50SGA
絶縁破壊電圧 kV 6.4 10.6 60Hz ASTM D149
誘電率 - 3.4 - 1GHz IPC-TM650 2.5.5.9
誘電正接 - 0.003 - 1GHz IPC-TM650 2.5.5.9
体積抵抗率 Ω・m >1014 >1014 DC 100V ASTM D257
表面抵抗率 Ω >1016 >1016 DC 100V ASTM D257

(3)熱的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-SGA) 測定条件 測定方法
25SGA 50SGA
線膨張係数
(50~200℃)
ppm/℃ 13 14 - 微小線膨張計
加熱収縮率 0.06 0.06 200℃、2時間 ASTM D1204

(4)化学的特性

項 目 単位 標準値(ユーピレックス®-SGA) 測定方法
25SGA 50SGA
吸水率 1.2 1.4 ASTM D570