社会 サステナブル調達

指針・基本的な考え方

購買について(サプライチェーンマネジメント)

UBEグループは、取引先様との相互発展的かつ公正・公平な取引関係の構築に努めています。購買活動はUBEグループサステナブル調達基本指針「公平・公正な取引」「取引先選定における客観的評価」「法令の遵守・機密保持」「グリーン購入」「サステナブル調達」に従って行っており、お取引先様にもサステナビリティへの取り組みを進めていただけるように、サプライチェーン全体を通じてサステナブル調達の取り組みを推進しています。

UBEグループサステナブル調達基本指針

UBEグループは、パーパスと経営理念を踏まえ、「法令遵守」、「公正・公平な取引」、「取引先選定における客観的評価」に注力し、かつ重要なパートナーであるお取引先様にもサステナビリティへの取り組みに協力いただくことで、サプライチェーン全体での「サステナブル調達」を実現します。

スコープ

UBEグループ(UBE株式会社および連結子会社)及び連結対象外であっても原料・設備購買に深く関与する会社とその一次サプライヤーを原則とします。ただし、紛争鉱物の使用または人権侵害の恐れがある地域からの原料調達を実施しているサプライヤーについては、二次サプライヤー迄を対象とします。

ゴール

「サプライチェーン全体での調達活動」において、社員や地域を含むバリューチェーン上で影響を受ける人々の健康、安全、自由、平等、倫理、公正、公平等の社会的価値を実現します。そのために以下を実践します。

  1. 公平・公正な取引
    公平・公正で自由な競争に基づき、個人的な利害関係や恣意の入らない取引を行い、常に新しいサプライヤーとのビジネス機会の創出を心がけています。また、サプライヤーと対等で公平な協力関係を築き、長期的観点より相互の理解と信頼関係向上に努めます。
  2. サプライヤー選定における客観的評価
    サプライヤー選定に際しては、品質・価格・納期等を総合的に勘案したうえで、経済合理性に基づき決定します。
  3. 法令の遵守・機密保持
    購買活動において、すべての関連する法令や社会的規範を遵守するとともに、取引上で得られた機密を保持します。
  4. グリーン購入
    購入品選定において、環境保護に配慮した購買活動を行います。
  5. サステナブル調達
    サプライヤーを含めたサプライチェーン全体において、社会的信頼性を高めるため、サステナブル調達を推進します。以下の事項を満たしている取引先からの優先的な調達に努めます。
    • サステナビリティ推進のため社内体制を構築していること
    • 安定供給の確保、品質を重視していること
    • 企業倫理、法令・社会的規範を遵守し公正な取引をしていること
    • 環境への配慮を重視していること
    • 人権尊重および安全・衛生管理に取り組んでいること
    • 社会貢献、社会とのコミュニケーションを重視し、情報管理・開示をしていること

コミットメント

  • サプライヤーに「UBEグループサステナブル調達ガイドライン」の遵守を要請し、サステナビリティへの取り組み状況を把握します。
  • サプライチェーンにおける人権・環境・鉱物など高リスクを特定し、リスク対策及び持続可能性に配慮した調達を行います。
  • 2030年までに次の目標を達成します。
    • 当社のミニマム認定(取引先登録)要件に適合したサプライヤーからの調達額比率100%
    • UBEグループサステナブル調達ガイドラインへ賛同いただいたサプライヤーからの調達額比率100%
    • 人権リスクがないことを確認できたサプライヤーからの調達額比率100%
    • 紛争鉱物リスクのないことを確認できたサプライヤーからの調達額比率100%
    • サステナビリティ調査によるSAQ実施率(調達額比率)95%以上

責任部署・見直し

購買・物流部が統括管理を行います。

本指針は、少なくとも2年以内に1回の定期見直しを実施します。期中に見直しが必要な場合は、サプライチェーンマネジメント委員会で審議し、承認を得ます。

UBEグループサステナブル調達ガイドライン

UBEグループは、株主をはじめ顧客・取引先・社員・地域社会等さまざまなステークホルダーからの信認獲得に努めるべく様々なサステナビリティ活動に取組み、サプライヤーであるお取引先様を含めたサプライチェーン全体において、社会的信頼性を高めるため、サステナブル調達を推進しています。

UBEグループサステナブル調達ガイドラインは以下の内容となっています。

1.サステナビリティ推進のための社内体制

  1. ①サステナビリティを推進するための「企業理念」「経営基本方針」「行動指針」等を整備する。
  2. ②社内にサステナビリティを推進する組織体制を確立する。
  3. ③サステナビリティや環境に関する報告書を作成・公表する。

2.安定供給の確保、品質

  1. ①平常時から、災害・事故等の不測の事態が発生した場合に備え、リスク管理体制を確立し、全社員に周知する。
  2. ②BCP(地震や新型インフルエンザ等の緊急事態が発生した場合に備えて事業を継続するための計画を予め定めておくこと)を構築し、全社員に周知する。
  3. ③製品安全性を確保する評価・試験を行い、トレーサビリティが可能である。また、ISO9000 等の品質マネジメントシステムを取得する。

3.企業倫理、法令・社会規範の遵守と公正な取引

  1. ①事業活動に適用される様々な法令・条例・政府通達・ルールを遵守する。
    (会社法、独占禁止法、下請法、労働関連法規、環境関連法規 等)
  2. ②違法行為に関する内部通報制度を整備する。
  3. ③不適切な利益供与・受領を禁止する。
  4. ④反社会的勢力(個人・団体)に対する取引を禁止する。
  5. ⑤取引先との公正な取引を行う。

4.環境への配慮

  1. ①ISO14001 等の外部認証取得など環境マネジメントシステム(組織体制、計画的活動、責任分担など環境活動を推進するための全般的な管理の仕組み)を構築・運用し、継続的改善に取り組む。
    ※環境活動:環境方針作成、方針に従った施策を実践、環境保全に対して PDCA サイクルを回す
  2. ②産業廃棄物は所在国の法令等に従い適切に管理・処分し、事業活動の全てにおいて3R(リデュース:削減、リユース:再使用、リサイクル:再資源)を推進するとともに、資源化等により最終廃棄物の削減を実行するための自主目標を設定し、また継続的に削減する。
  3. ③省資源・省エネルギーを実行するための自主目標を設定し、また継続的に資源・エネルギーを有効活用する。
  4. ④温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素等)の排出量削減を実行するための自主目標を設定し、また継続的に削減する。
  5. ⑤水資源の適正かつ効率的な利用により、使用量の継続的な削減を図る。また人の活動および環境保全に果たす水の機能が適切に保たれた状態での水循環へ配慮する。
  6. ⑥生物多様性への配慮を通じた自然共生に努める。
  7. ⑦大気・水質・化学物質排出など環境保全に関する所在国の法令等を遵守し、また必要に応じて自主基準をもって更なる改善を行う。

5.人権尊重、安全・衛生

  1. ①あらゆる非人道的行為を禁止する。

    虐待、体罰、各種ハラスメント(嫌がらせ)などのあらゆる非人道的な行為を禁止し、人権を尊重する。

  2. ②児童労働を禁止する。

    最低就業年齢に満たない児童対象者を雇用せず、また児童の発展を損なうような就労をさせない。

  3. ③強制労働を禁止する。

    すべての従業員をその自由意思において雇用し、また従業員に強制的な労働を行わせない。

  4. ④過重労働を禁止する

    法定限度を超えないよう、従業員の労働時間・休日・休暇を適切に管理する。

  5. ⑤適正な賃金の支払いを行う。

    従業員に少なくとも法定最低賃金を支払い、また不当な賃金減額を行わない。

  6. ⑥あらゆる差別を禁止する。

    求人・雇用における差別をなくし、機会均等と処遇における公平の実現に努める。

  7. ⑦労働者の基本的権利を尊重する。

    結社の自由と団体交渉の権利等、労働基本権を尊重し、密接な対話を通じて、従業員との良好な関係を構築する。

  8. ⑧労働安全について適切な管理を行う。

    就労中に発生する事故や、人体に有害な化学物質、騒音、悪臭などの発生リスクを把握し、安全な職場環境を確保する。

  9. ⑨衛生について従業員のメンタルヘルス他、心身両面にわたる適切な健康管理を行う。関係する法令を遵守し、国や県の進める健康経営認定を取得する。

6.社会貢献、社会とのコミュニケーション、情報管理・開示

  1. ①社会貢献活動を積極的に実施する。
  2. ②財務情報等株主に必要な情報を正確に外部へ報告する。
  3. ③品質及び製品の安全性に関わる情報を適時・適切に開示する。
  4. ④機密情報の漏洩防止に関する社内規定を整備し、システム対応を実施する。また、取引を通じて得た機密情報、個人・顧客情報の保護に関する規則等を定め、適切に管理する。
  5. ⑤コンピュータウイルスなどのコンピュータ・ネットワークの脅威に対して防御策を講じる。

UBEグループサステナブル調達マネジメント基準

私達UBEグループは、企業価値の向上と社員及びパートナー様の最大の幸福を実現するため、ここに調達マネジメント基準を定めます。この基準は、「UBEグループサステナブル調達基本指針」及び「UBEグループサステナブル調達ガイドライン」の内容を踏まえ、UBEグループの調達についての共通の価値観を表すものです。UBEグループの各社にはそれぞれの規則、慣習や調達に関する規程類がありますが、この基準はUBEグループの調達マネジメントにおける普遍的な考え方として、全世界のUBEグループ企業に適用されます。

【コミットメント】

  1. 調達活動の遂行にあたっては、国内外の法令、規則や社会的規範の遵守に努めるとともに、パートナー様に対しても同様のお願いをしていきます
  2. 取引先となるパートナー様の選定及び交渉については、公平・公正を旨とします
  3. パートナー様の選定及び取引の過程で得られた情報は、「UBEグループ情報管理基本指針」などのルールに基づき、適切に管理します
  4. 知的財産は重要な経営資源であると考え、UBEグループが有する権利を保護すると同時に、パートナー様の知的財産を尊重します
  5. 調達に携わる社員に対し、適切な教育受講の機会を提供します
  6. 調達に携わる社員は、「UBEグループ行動規範」及び「UBEグループ調達担当者の行動規範」を遵守し、公平・公正かつ廉潔な調達活動を進めます

【調達デュー・デリジェンスの実施】

  • パートナー様の新規登録に際しては、調達品目及びパートナー様の管理体制を確認し、UBEグループ各社の規程類に基づいて適切に判断、実施します
  • パートナー様での人権侵害や紛争懸念鉱物の調達がないことや、サステナビリティへの対応状況について、UBEグループ各社が定める手法に基づき、定期的に調査、確認します

【改善・救済措置】

  • パートナー様への定期的な調査結果については、パートナー様へ結果レビューを行うと同時に、全体像をホームページなどで公表することで、パートナー様での取り組みへの気づきの機会を提供します
  • サステナビリティへの取り組みが途上にあると判断されたパートナー様については、当社のサステナビリティ担当部門を交えた打ち合わせの場を持つことで、個別の意見交換や改善の機会を提供します

UBEグループ調達担当者の行動規範

UBEグループは、調達活動に従事する社員の行動が企業倫理や社会常識から乖離しないように心がけるとともに、公平かつ公正な調達を推進するため、次の行動規範に基づき活動します。

  1. ①調達活動に携わる社員は、調達に関わる全ての法令を遵守します。法令に反する事実を知りえた場合は、直ちに上司に報告のうえ適正な処置を実施します
  2. ②調達活動に携わる社員は、パートナー様からの中元・歳暮などの贈答品は受け取りません。同様に、慶弔・見舞金などの儀礼についても辞退いたします
  3. ③調達活動に携わる社員は、パートナー様からの未公開株取得や、インサイダー情報を得ての株式取得は行いません
  4. ④調達活動に携わる社員は、個人使用を目的としたパートナー様製品の特別な割引あっせんを受けません
  5. ⑤調達活動に携わる社員は、パートナー様に対して個人的な利益供与を要求するなど、一切の利害関係を持つことはありません
  6. ⑥調達活動に携わる社員は、パートナー様からの不適切な接待を受けません。また、パートナー様にこのような接待をすることもありません
  • 「調達活動に携わる社員」とは、調達、資材、購買、品質管理、生産技術、開発その他、パートナー様とのお取り引きに関わる全ての社員を指します

紛争鉱物に対する考え方

当社では、企業の社会的責任を果たすため、責任ある原材料調達を推進いたします。特に懸念される鉱物(スズ、タンタル、タングステン、金)に加え、近年社会的に調査要請が高まっているコバルト、マイカの6物質について、購入原料への含有有無や購入原料の特性上含有が必須となる場合の調達ソースの詳細確認を実施しています。

調査の結果、購入原料において紛争鉱物(コンゴ民主共和国とその周辺国の武装集団の管理下に置かれ、採掘・売買されている一部鉱物)の使用が判明した場合は、速やかに当該品の調達中止、または取引先様に対し調達ソース変更の働きかけをするように取り組みます。

「パートナーシップ構築宣言」に賛同

当社は2022年4月1日、経団連会長、日商会頭、連合会長及び関係大臣(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省)をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において創設された「パートナーシップ構築宣言」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。

創業の精神である「共存同栄」のもと、今後もサプライヤーとのよりよい連携を推進し、サプライチェーン全体での付加価値向上を目指します。

また2025年4月には、下請中小企業振興法に基づく「振興基準」の改正に伴い、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」の遵守)など重点的に取り組むことを追加し宣言しています。

【パートナーシップ構築宣言】

1.サプライチェーン全体の共存同栄と規模・系列等を超えた新たな連携

  • 取引先様と共に人権、労働基準・環境などの社会的責任にも配慮した持続可能な社会実現を目指す

2.「振興基準」の遵守

  1. ①価格決定方法
    • 不合理な原価低減要請は行わない。取引対価の決定に当たっては、下請事業者と少なくとも年に1回以上の協議を行うとともに、下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における労働条件の改善が可能となるよう、十分に協議して決定。その際、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に掲げられた行動を適切にとった上で決定。また、原材料費やエネルギーコストの高騰があった場合には、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指す
  2. ②型管理などのコスト負担
    • 「型取引の基本的な考え方・基本原則について」や、「型の取扱いに関する覚書」を踏まえて取引を行い、不要な型の廃棄促進とともに下請事業者に対し型の無償保管要請は行わない
  3. ③手形などの支払条件
    • 可能な限り現金払いとし、手形等で支払う場合には、割引料等を下請事業者の負担とせず、また、支払サイトを60日以内とする
  4. ④知的財産・ノウハウ
    • 片務的な秘密保持契約の締結や、取引上の立場を利用したノウハウ開示等は求めない
  5. ⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ
    • 下請事業者に対し、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や仕様変更は行わない

3.その他

  • 取引先を含めたサプライチェーン全体における社会的信頼性を高めるためガイドラインを公表
  • 約束手形の利用廃止に向けて、大企業間取引を含めた現金払いや電子記録債権への移行を推進

マネジメント体制

サプライチェーンマネジメント委員会

サプライチェーン全体でサステナブル調達の推進をさらに強化するため、2024年4月より、購買・物流部担当役員を責任者とするサプライチェーンマネジメント委員会を設置し、社長が議長の経営会議(サステナビリティ委員会)への審議・報告を行っています。

サプライチェーンマネジメント委員会は、UBE グループ横断的な組織をもってサステナブル調達に関わるUBEグループのリスクを特定し、対応方針を審議・決定するとともに目標設定を行い、適切なサステナブル調達の管理・推進を行っています。

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目標と実績

指標 スコープ 2024年度 2025年度 2030年度
範囲 原燃料 設備 実績 目標 目標 目標
当社のミニマム認定(取引先登録)要件に適合したサプライヤーからの調達額比率 UBE株式会社 100% 100% 100% 100%
UBEグループサステナブル調達ガイドラインへ賛同いただいたサプライヤーからの調達額比率 UBE株式会社 97.5% 100% 100% 100%
人権リスクがないことを確認できたサプライヤーからの調達額比率 UBE株式会社 100% 100% 100% 100%
紛争鉱物リスクのないことを確認できたサプライヤーからの調達額比率 UBE株式会社 100% 100% 100% 100%
サステナビリティ調査によるSAQ実施率(調達額比率) UBE株式会社 91.0% 90% 90% 95%

サステナブル調達

UBEグループは、人権尊重、反社会的勢力排除等の法令・社会規範の遵守、環境への配慮等を盛り込んだ「UBEグループサステナブル調達基本指針」および「UBEグループサステナブル調達ガイドライン」を策定し、サプライチェーン全体のレベルアップを目指したサステナブル調達を推進しています。「ガイドライン」は定期的に見直しを行うことで最新の社会的要請に合致させており、最新版として2024年6月改訂版をUBEグループウェブサイトに公開しました。また新規取引先にはUBEグループサステナブル調達基本指針およびUBEグループサステナブル調達ガイドラインをUBEグループウェブサイトに掲載していることを伝えるとともに、UBEグループと一体となったサステナブル調達の推進に向けてのご協力を依頼しています。

「第5回サステナビリティに関するお取引先調査」結果について

当社では2012年度よりサステナビリティに関するお取引先への調査を実施しておりますが、2024年度には設備系と原燃料及び包装材料系の購買金額の91%をカバーする主要取引先242社に対し第5回調査結果を実施、この結果を集計・分析し、全社に結果をフィードバックするとともに、回答水準の低いお取引様とは面談を行い取り組みの改善を支援しました。

質問項目は①CSRにかかわるコーポレートガバナンス、②人権、③労働、④環境、⑤公正な企業活動、⑥品質・安全性、⑦情報セキュリティ、⑧サプライチェーン、⑨地域社会との共生の計9項目(全114問)で、3段階自己評価の調査結果の全体平均水準は3.8となっており、一定レベルの取り組みや対策が実施されています。また、大企業の取り組み水準は4.7と高く、中小企業は3.3と1.4ポイント低い結果。これも第4回調査と変わらず同レベルの結果となりました。

項目別に見ると「III.労働」に関しては取組み水準が4.1と高い一方で、「VIII.サプライチェーン」の点数が3.1と相対的に低い結果となりました。資本金3億円超の大企業の平均水準は4.7、資本金3億円以下の中小企業は3.3と1.4ポイント低い結果となっています。大企業・中小企業ともに「VIII.サプライチェーン」の点数が最も低く、取引先でのサプライチェーンに関する方針やガイドライン制定について整備が課題であること把握しました。取引先の皆様には結果をフィードバック共有し改善の検討をお願いしました。尚、設問を前回第4回までは当社独自だったものを、今回第5回より国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)にて作成されたセルフ・アセスメント質問表(SAQ)を採用し調査を実施しています。600を超える企業・団体が参加しているGCNJの共通SAQに基づくことで、お取引先のご回答負担軽減に努めるとともに、グローバル・スタンダードに従った調査・評価・確認が行えると考えています。調査結果の詳細については、「第5回サステナビリティに関するお取引先調査結果」をご覧ください。

FTSE Blossom Japanのサプライチェーン評価について

「FTSE Blossom Japan Index」は、FTSE Russellが作成した株価指数です。ESG(環境・社会・ガバナンス)について優れた対応を行っている日本企業から構成されています。UBEグループは、人権尊重、反社会的勢力排除等の法令・社会規範の遵守、環境への配慮等を盛り込んだ指針「サステナブル調達」および「UBEグループサステナブル調達ガイドライン」を策定、サステナブル調達を推進していることが認められ、サプライチェーンの取り組みにおいて5段階評価でポイント4の高い評価を得ています。

また当社は「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に組み入れられています。

取り組み(調達)

取引開始~取引開始後の評価と改善支援フロー

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サステナブル調達方針「UBEグループサステナブル調達ガイドブック」

UBEグループは、品質・価格・納期のみならず、人権・労働などの社会側面や、再生可能エネルギー推進や生物多様性保全などの環境側面にも配慮した責任ある調達活動を推進しています。また、調達に関する考え方を「UBEグループサステナブル調達基本指針」「UBEグループサステナブル調達ガイドライン」に定め、お取引先様に遵守いただき、サプライチェーン全体でサステナブルな社会の実現に向けて、共に取り組んでいます。

具体的には新規のお取引先様には「UBEグループサステナブル調達ガイドブック」 にて当社の方針・考え方をご理解いただくと共に、事前に社内でのデュー・ディリジェンスを実施し、評価判定が良好であることを確認した後に取引を開始しています。また取引開始後は、本ガイドブックのご理解状況を定期的にモニタリングしております。

  • UBEグループサステナブル調達ガイドブック
    UBEグループでは、持続可能な社会の実現に向けて、調達活動に関する基本的な考え方や行動のルールをまとめた「サステナブル調達ガイドブック」を作成しています。
    このガイドブックには、「UBEグループサステナブル調達基本指針」「UBEグループサステナブル調達ガイドライン」「紛争鉱物に対する考え方」「UBEグループサステナブル調達マネジメント基準」「UBEグループ調達担当者の行動規範」などを掲載しています。これらを通じて、環境や人権に配慮した責任ある調達を推進し、多くのお取引先の皆さまにもご理解・ご協力いただけるよう努めています。

購買基本約款

当社では設備工事及び原燃料、包装材料の調達に関する基本ルールを「購買基本約款」として定め、お取引先様に遵守いただくことで、公正な取引を実施しております。「購買基本約款」については社会的な要請事項の変動などによる見直しを適時実施し、当社の購買基本方針などと合致した内容としております。

購買基本約款は当社及び主要なグループ会社で統一した内容となっており、サステナビリティに関連する項目の記載は以下の通りとなっています。
 ・購買基本約款(抜粋)
 ・第33条(サステナブル調達)
 ・第35条(反社会的勢力の排除)

購買基本約款は以下のサイトにてご確認いただけます。

https://www.ube.com/ube/corporate/profile/koubai/yakkan/

サプライヤーとの関わり

当社では「サステナビリティに関するお取引先調査」を定期的に実施しております。

①アンケート質問内容(第5回調査)

質問項目(設問数) 主な設問
I. CSRにかかわるコーポレートガバナンス(20) CSR推進体制の構築、内部統制の構築、事業継続計画(BCP)体制の構築など
II. 人権(9) 人権に対する基本姿勢、地域社会または先住民の生活・文化の尊重ならびに配慮など
III. 労働(23) 労働慣行に対する基本姿勢、雇用における差別の禁止、強制労働・児童労働の禁止など
IV. 環境(15) 環境への取組みに対する基本姿勢、資源(エネルギー、水等)の持続可能で効率的な利用など
V. 公正な企業活動(20) 公正な企業活動に対する基本姿勢、反社会的勢力・団体との関係排除など
VI. 品質・安全性(7) 製品・サービスの品質・安全性に対する基本姿勢、事故や不良品流通の発生時の適切な対応など
社会貢献活動、機密情報漏洩対策など
VII. 情報セキュリティ(9) 基本姿勢、個人情報およびプライバシー保護、機密情報の不正利用防止など
VIII. サプライチェーン(7) 基本姿勢、紛争や犯罪への関与の無い原材料の使用(紛争鉱物への取組み)など
IX. 地域社会との共生(4) 地域社会や住民への健康・安全衛生などの被害を減らす取組みなど

②アンケート回答結果、スコア

  • お取引先調査結果
    お取引先調査結果
  • 第5回 回答項目別レーダーチャート
    第5回 回答項目別レーダーチャート

③監査・教育活動

前回(第5回)調査では、回答のあった全取引先への個別レビュー(各社スコア及び平均スコア、順位の開示)に加え、回答スコアの低かった企業のうち、重点課題の一つである「人権・労働」に関し特に懸念のある13社(主要取引先の5.4%)に対し、サステナブル調達にご協力いただくためのフォローアップ面談、およびサステナビリティ教育を行いました。フォローアップ面談では、お取組みの現状を確認し、実情を理解したうえで、今後取り組むべき施策について建設的で実現可能なアドバイスを行いました。各社ともお取組みを基本的に当然のごとく進められておりましたが、調査票の質問事項を厳しく判断されていた傾向にありました。サステナビリティ教育は、重点分野を「人権・労働・紛争鉱物」および「環境」とし、各社の事業形態およびお取組み状況に合わせて濃淡をつけて説明するとともに、サステナビリティ教育資料を提供しました。なお、13社の方には共通SAQを再提出いただき、お取組みの改善を確認していますが、今後もフォローを継続していきます。

④今後の取り組み

次回(第6回)は2026年に調査を行います。

⑤お取引先様等からの情報提供ホットライン

UBEグループは、「企業活動および業務遂行において、国内外の法令、社内規則、社会の規範及びルールを遵守しつつ、UBEグループに対する社会からの信頼に応え、誠実に行動すること」をコンプライアンス確保・推進の指針とし、これに沿ってコンプライアンスを実践しています。UBEグループの事業活動において、コンプライアンス違反の恐れや疑いがある場合は、ホットラインよりお知らせください。
詳しくはこちらをご覧ください

BCP体制

調達部門におけるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、当社事業の継続性を担保するためにも必要不可欠なものと位置付けております。調達部門では特に影響度が大きいと考える首都直下地震について個別にBCPを構築、定期的な見直しや教育活動の継続により、実効性を維持・向上すべく努めています。更に当社ではサプライヤー立地情報や出発原料情報を独自に管理しており、大規模地震などの自然災害やサプライヤーでの事故発生時に、迅速な影響度合いの調査や回答ができるように準備しております。

社員教育

当社ではサステナブル調達の維持、改善には従業員に対する教育活動も重要との認識に立ち、社内関係部門と連携したE-ラーニングシステムの活用により、定期的な教育活動を実施しています。

サステナブル調達に向けた社内教育内容

UBEでは、購買・物流に関わる全従業員を対象に、サステナブル調達の理解と実践に向けた教育を実施しています。

教育では、社会的に注目される「価格転嫁交渉指針」や「物流効率化法」への対応として、当社が構築した「サステナブル調達の方針体系」や改訂した「パートナーシップ構築宣言」、「物流効率化法への対応方針」などを、音声付き資料で説明し、理解と実践の定着を図っています。

調達担当者への周知項目一覧
項目 周知内容・ポイント
SCM委員会での「現場担当者」とは? 「調達担当者」を部署長と本人、事業部・工場・各会社の管理部署が自覚し調達担当者へ本周知事項をもれなく周知する
サステナブル調達方針体系図
サプライチェーンマネジメント委員会規程
UBEグループサステナブル調達基本指針
UBEグループサステナブル調達ガイドライン
UBEグループサステナブル調達マネジメント基準
調達担当者は方針類として何があるか、どんな内容か確認する
パートナーシップ構築宣言 調達担当者は「取引先をパートナーとして対応する」とした内容を確認する
労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(価格転嫁交渉指針) 価格交渉担当者は、指針内容を認識して交渉することが経営トップの指示であることを理解し、指針内容を日々行動する
コンプラインスセルフチェック 「調達担当」部署・管理する事業部や工場・各会社の管理部署は該当チェック襴で関連法令遵守状況チェック
2024年度 全社E-ラーニング事例

サステナビリティ(含.サステナブル調達)、コンプライアンス、人権、サイバーセキュリティ、DE&I、健康経営、地球環境問題(生物多様性保全)

2024年度 調達部門活動事例
  • サプライチェーンマネジメント委員会(年2回)
  • グループ購買連絡会議(年2回)
  • 下請法に関する連絡会議(年1回)
  • 調達部門内教育(年2回:取引先アンケート結果周知、サステナブル調達概要)
サプライチェーンマネジメント委員会 2025年3月開催 33名参加(100%)
上記内容の周知教育 2025年4月開催 876名参加
内調達部門 46名参加(100%)
グループ購買連絡会議 2024年12月開催 11名参加(8社(UBE含む))
下請法に関する連絡会 2024年10月開催 93名参加

取り組み(物流)

物流安全・安定輸送

重要な経営の一要素である「物流」は今、課題に直面しており、当社も今までとは違った対応が必要です。悪化しているトラックドライバーの労働環境を改善するために、長時間労働禁止が昨年2024年から施行されました。これらの問題と対策は2024年問題と言われています。当社は経済産業省等が主導する「フィジカルインターネット実現会議」の下部組織として設置された「化学品WG」に参加し、2024年問題に対し取組を進めています。また化学物質輸送における安全確保のため、輸送上の万一の事故時に運送会社やドライバーが適切に使用できるよう情報の整備を進め、物流事故防止と物流品質改善を推進しています。危険物等の輸送では、輸送を委託した協力会社の車輛に、輸送中に事故発生時に取るべき措置や関係個所への通報連絡内容を記載したイエローカードの携行をお願いしております。

ホワイト物流

当社は「ホワイト物流」推進運動に賛同し、自主活動を推進しています。

1. 「ホワイト物流」推進運動とは

国土交通省、経済産業省、農林水産省が呼びかけた物流改善運動で、深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的としています。特に、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化や、女性や60代以上の運転手等も働きやすい、より「ホワイト」な労働環境の実現を目指すために、荷主企業・物流事業者等が連携して相互に改善を提案し、実現する活動です。2024年問題に対し物流に関する法律も改正されており、自主行動を深化させて2025年より取組項目を増やしています。

2. 当社自主行動宣言の内容

取組項目 取組内容
物流の改善提案と協力

取引先や物流事業者から、荷待ち時間や運転者の手作業での荷卸しの削減、附帯作業の合理化等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、自らも積極的に提案します。

予約受付システムの導入

トラックの予約受付システムを導入し、荷待ち時間を短縮します。

パレット等の活用

お取引先のご理解を得ながらパレットの活用を増やし、物流事業者の荷役作業負担の軽減、及び荷役時間の削減をします。

集荷先や配送先の集約

トラック運転者の拘束時間を短縮するため、グループ企業との共同集荷や共同配送を進めるとともに、物流事業者から集荷・配送方法の見直しについて相談があった場合は、真摯に協議に応じます。

荷主側の施設面の改善

倉庫等の物流施設の増設・レイアウト変更等を行い、長距離輸送を削減します。

高速道路の利用

物流事業者から、高速道路の利用と料金の負担について相談があった場合は、真摯に協議に応じます。

船舶や鉄道へのモーダルシフト

長距離輸送について、トラックからフェリー、RORO船や鉄道の利用への転換を行います。この際に、運送内容や費用負担についても必要な見直しを行います。

運送契約の書面化の推進

運送契約の書面化を推進します。

燃料サーチャージの導入

物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合には、真摯に協議に応じます。

構内輸送・荷役作業時の安全対策

構内輸送時及び荷役作業時の危険要因を抽出し、作業手順マニュアル作成や協力会社への安全教育を通じて、安全の確保を図ります。

異常気象時等の運行の中止・中断等

台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行いません。
また、運転者の安全を確保するため、運行の中止・中断等が必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重します。

物流事業者等とのコミュニケーション向上

物流事業者等とは取引価格の適正さや相互の働き方改革となる施策などを定期的に話し合い、連携して相互の改善に取り組みます。

3. 当社グループのこれまでの取組み

2007年から当社グループの物流改善活動として、「物流効率化プロジェクト」を発足させ、共同輸送やモーダルシフトなど様々な施策を実行してきました。またこの間、エラストマー事業においては関光汽船株式会社殿と共に、国土交通省海事局より『平成23年度 エコシップモーダルシフト事業優良事業者』の表彰を受けました。2016年からは新たに「グループ物流効率化連絡会」を設置し、顧客・取引先や協力会社との連携強化、輸送効率化などに取組んでいます。そして2024年からはサプライチェーンマネジメント委員会に物流部会を設置し、UBEグループ全体で物流課題に取り組んでいます。

当社は、物流クライシスを産業界全体における共通の課題と捉えるとともに、サプライチェーンを通じた環境負荷低減への取組みの一環として、今後も顧客・取引先や協力会社との一層の物流合理化運動を推進してまいります。

モーダルシフトの推進 —エコレールマークを取得—

当社は、地球環境への配慮や輸送手段の多様化を目的として、鉄道貨物輸送を通じてモーダルシフトを推進しています。2023年11月、公益社団法人鉄道貨物協会が実施するエコレールマーク事業において、当社は「エコレールマーク取組企業」として認定されました。「エコレールマーク制度」は、地球環境に優しい鉄道貨物輸送を一定以上利用している商品または企業に対して認定を受けることができる仕組みで、マークの表示により消費者がその商品がどのように運ばれてきたのかを知り、商品を選ぶ際の指標になることを目的としています。

物流効率化法(新物効法)施行に伴う取り組み

1. バース予約管理システムの活用による荷待ち・荷役時間の可視化
  • 発荷主として、自社作業者や物流事業者へのヒアリング、予約受付システムの活用により、出荷時の荷待ち・荷役時間を把握。
  • 宇部ケミカル工場、堺工場、千葉工場でバース予約管理システムの導入を推進。
2. 附帯作業の着荷主への移管
  • フォークリフト作業などの廃止方針を明確化。納入先での荷下ろし・段積み等は原則「車上渡し」とし、営業部門を通じて着荷主へ要望。
  • 着荷主で附帯作業が困難な場合は、「製品納入時の作業に関する覚書」を締結し、責任範囲を明確化。
    作業料は輸送運賃とは別途請求。
  • 自主行動計画に基づき、廃止目標を設定。顧客への案内文送付や進捗管理リストの作成・共有を通じて、社内外で対応を推進。
エコレールマーク