社会 人財マネジメント

指針・基本的な考え方

UBEグループ人財マネジメント基本指針

UBEグループは、企業価値の向上と社員の最大の幸福を実現するため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進し、女性活躍推進、シニア、外国人財の活躍推進、障がい者雇用に取り組み、全従業員に対して働きがいのある職場を提供します。

また、持続的に企業価値を向上させる経営戦略と一体となった人財マネジメント戦略として、スペシャリティ化学を牽引する10人財並びに、自発的なキャリア形成ができる人財の育成を掲げ、イノベーションを創出する企業風土を確立します。

スコープ

UBEグループ(UBE株式会社および連結子会社)を対象とします。なお、人財戦略はUBE株式会社を対象とします。

ゴール

ダイバーシティを充実させることで多様な視点や経験を持つ多様な人財が集まり、その能力が発揮され、組織が活性化しイノベーションを創出する企業風土を確立します。そのために以下を実践します。

  1. 人財の多様性を重視し、それぞれの個性を尊重します。
  2. 社員の創造性と自主性を引き出し、モチベーションを高めます。
  3. すべての社員に、専門能力を磨くための機会を提供します。
  4. 公正な評価と報酬を目指します。
  5. 多様な働き方を受容し、働きやすい職場環境の維持、向上を図ります。

コミットメント

2030年までに次の目標を達成します。

  • 女性管理職比率(国内連結):10%、女性社員比率(国内連結):25%
  • 障がい者雇用率(UBE/リベルタス興産/宇部総合サービス):3.2%
  • 1人当たりの人財投資額(UBE単独):30万円以上
  • 離職率(UBE単独):2%以下
  • 男性育休取得率 取得日数20日以上(UBE単独):50%

責任部署・見直し

人事部および人財戦略部が統括管理を行います。

本指針は、少なくとも1年以内に1回の定期見直しを実施します。期中に見直しが必要な場合は、人財・人権委員会で審議し、承認を得ます。

スペシャリティ化学の成⻑を推進する人財戦略の基本的な考え方

(1)経営戦略と連動した人財戦略の実践

経営環境が急速に変化する中で、持続的に企業価値を向上させるためには、経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人財戦略を策定し、実行することが不可欠です。

当社が掲げる、スペシャリティ化学を中核とする企業グループへと成長するため、人財戦略をレベル1~5の局面に整理して各施策を推進しています。現中期経営計画期間はレベル3に当たり、事業構造改革の深化や急速に進むグローバル展開に対応できる高度人財を育成し、活躍できるための施策を積極的に実行しています。

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(2)スペシャリティ化学の成長を推進する10人財

前中期経営計画の期間では、事業構造改革・DX推進とこれまでにない取組みがなされ、人財を最大限に活性化するためにどのような施策を実施するべきかという視点で人財戦略を検討してきました。

その一つとして、当社が目標とする、スペシャリティ化学の持続的な成長を実現するためにはプロアクティブな人財を育成する必要があるとの結論となり、それを体現するモデルとして「10人財」を定義しました。2025年度はこの10人財を社員一人ひとりに対して浸透を図っていくことになります。

10人財全体像
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(3)人財マネジメント

タレントマネジメントシステムの導入によって、人財の見える化を実現し、各事業において必要とされる人財(10人財)が各部署でどの程度必要なのかをヒアリングして人財ポートフォリオを作成します。それを基に、最適な人財を確保するために、育成・採用・最適配置を効果的に融合させることが重要だと考えています。

そして、人財戦略の中核となるキャリアオーナーシップの確立を目指して、社内公募を積極的に実施しています。これにより、社員一人ひとりが自身のキャリアについて考える機会を提供し、従来から実施している上司とのキャリア開発面談を通じて今後のキャリアプランを明確にすることで、社内公募の通年実施化を実現していきます。

また、DX推進室が主導する生成AIを駆使した業務効率化やデータ活用を通じて、全社員を対象にデジタル人財の育成に取り組んでいます。当社のDX推進は、デジタル技術を活用するだけでなく、業務の集約・効率化を図り、デジタル技術を組み合わせて、業務の価値を創出することを目指しています。この視点で、全社的にDX推進に取り組んでいます。

(4)新人事制度

2026年度からの運用開始に向けて、人事制度改革を進めています。社員が自身の成長を自ら考え、先に定義した10人財のいずれかを目指し、自律的なキャリア・専門性開発を後押しする仕組みを構築します。具体的には、総合職・基幹職の統合、年齢や学歴に関係なく、職責の中での発揮能力の高さを評価する制度、高度なスペシャリティを持つ人財を適切に処遇する仕組みを整備し、人財の変革を実現します。

マネジメント体制

人的資本マネジメント運営体制
人的資本マネジメント運営体制

目標と実績

指標 スコープ
(範囲)
2024年度 2025年度 2030年度
(中長期)
実績 目標 目標 目標
1人当たりの人財投資額 UBE単独 20.5万円 20万円 30万円

重点施策と進捗状況

組織の持続的な成長には、多様な視点と価値観が交差する環境が不可欠であると考えています。異なる経験や専門性を持つ人財が交わることで、柔軟な発想や新たな気づきが生まれ、変化の兆しをいち早く捉える力が育まれます。こうした組織の強靭性を高めるため、人事領域におけるKPIを明確に設定し、働く環境や制度の整備を進めています。KPIの進捗は四半期ごとにグループ全体で確認し、結果を可視化・共有することで、全社的な取組みの一体感と実効性を高めています。

人事領域のKPI(国内連結)2022年~2024年度実績
(年度) 実績
2022 2023 2024
女性管理職比率 4.1% 4.6% 5.8%
女性社員比率 15.0% 15.0% 16.0%
キャリア採用比率(総合職) 37.3% 36.1% 51.3%
外国人採用 0名 7名 5名
男性社員育児休職取得率 99% 86.9%
年次有給休暇取得率 74% 81% 81.3%
障がい者雇用率 2.70% 2.68% 2.69%
喫煙率 23% 23% 22.3%
人事領域のKPI2030年度に向けた目標設定
(年度) 目標
2025 2030
一人当たり人財投資額(UBE単独) 20万円 30万円
女性社員比率(国内連結) 17.0% 25.0%
女性管理職比率(国内連結) 6.5% 10.0%
障がい者雇用率(UBE/リベルタス興産/宇部総合サービス) 2.7% 3.2%
離職率(UBE単独) 1.1%以下 2%以下
年次有給休暇取得率(UBE単独) 95% 100%
総実労働時間(UBE単独) 1,900h 1,880h以下
男性育児休業取得率 取得日数20日以上(UBE単独) 30%以上 50%

取り組み

1. 社員との対話

UBEでは、社長と社員との率直な意見交換を通じ、各部署の課題や今後の方向性に関する理解を相互に深める取組みをしています。

2024年度は、一年間を通じて管理職候補層を対象に、計14回、51名の方に実施し、将来のUBEのあるべき姿像について活発に議論しました。

2. 人財育成

(1)人財育成

UBEでは、⼈財育成投資を拡充することで、成⻑と⾰新を担う⼈財の育成に取り組んでいます。組織内のコミュニケーションを促進するため、オンライン研修を主体としながら対面研修も一部取り入れ、効率化と効果の最大化を目指しています。

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また、階層別研修において社外のeラーニングサービスを活用し、一⼈ひとりがキャリアの自律に向けて、自らの意思で成⻑し続ける風土づくりを行っています。

幅広い事業やグローバル化が進む環境で活躍できる人財を育成するため、

  • OJT(On the Job Training)
  • OFF-JT(Off the Job Training:集合研修など)
  • 自己啓発支援制度

を充実させるとともに、UBEで働く人すべてが職務を通じてそれぞれの能力を十分に発揮できるよう人財育成に積極的に取り組んでいます。

OFF-JTでは、外部環境の変化を反映しつつ、各階層・職務で求める能力を勘案した研修プログラムを実施しています。自己啓発支援では、通信教育や社内外の語学講座など、さまざまなプログラムを用意して社員の能力向上をサポートしています。

1人当たり人財投資額/1人当たり研修時間
(年度) UBE単独
2022 2023 2024
一人当たりの人財投資額(OFF-JT)※1 12万円 15万円 20.5万円
一人当たりの研修時間※2 17時間 19時間 15時間※3
  • ※1算出方法:(教育研修費の合計金額+育成担当部署の労務費)÷UBE単独従業員数(該当年度末時点)
  • ※2算出方法:(集合研修の総受講時間+e-ラーニングの総受講時間)÷UBE単独従業員数(該当年度末時点)
  • ※3APIC統合影響による
研修体系概要
研修体系概要

(2)実践型育成

UBEの実践型育成とは、全社員を等しく育成する階層別研修とは異なる視点で、特に偏りを持たせ集中的に対象者を育成する制度です。人財戦略部と事業部が協働し、経営と連動した必要人財の育成に力を入れています。具体的に営業領域で言うと、自動車OEM設計出身者等の講師を顧客に見立て、緊迫感溢れる商談ロールプレイを実践することで交渉力を深めるなど、個別に短期間で必要なスキルを具備できるよう取り組んでいます。

(3)グローバル人財育成の強化

UBEにおいては、各事業で海外展開が拡大していることから、グローバルで活躍できる人財の育成を積極的に進めています。語学力の底上げのために、全社員を対象として資格毎に英語能力の目標値を定め、TOEIC受験を開始しました。また、海外トレーニーを立候補枠と部署推薦枠で⼈選し派遣しています。その他、異文化対応能力の強化とグローバルマインド育成を目的とするグローバルビジネスリーダー研修、海外経験機会の拡充なども積極的に行っています。

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(4)DXによるタレントマネジメント

スペシャリティ化推進に必要な⼈財像(役割、スキル、知識、行動様式、マインド)を、上に掲載した「10人財像」のとおり定義しました。キャリアパスを「自分ごと」化して、自律的に自己開発ができるよう社内公募制に力を入れています。また、事業目標達成に必要な⼈財を計画的に育成する体制構築に向け、タレントマネジメントシステムを導入しました。

3. 働きがいの向上

UBEでは、人財データベースの整備やタレントマネジメントシステムの導入により人事オペレーションの高度化を進め、計画的な人財育成に向けて取り組みます。また、社内公募を積極的に実施することで、社員一人ひとりのキャリアオーナーシップを支援し人財の活性化に繋げます。年齢や学歴に捉われず、職責のなかでの発揮能力の高さを評価できる制度や高度なスペシャリティを持つ人財を適切に処遇する制度を新たに構築し、社員を適正に評価することでウェルビーイングの向上を目指します。

併せて、ビジネスネームの使用を標準化し、社員のアイデンティティを尊重することで、働きやすい職場環境の整備を進めています。

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ウェルビーイング向上の課題と対応

UBEでは、ウェルビーイングの指標として労働組合と協働で全社員に対し幸福度調査を2024年度に実施しました。社員の世代や職種、勤務地ごとに示される「職場の幸福度」の偏差に着目し、結果の分析と社員へのヒアリングを合わせて、社員の満足度を高めるための施策内容を検討・展開していきます。2025年度は、労使検討委員会を設置し、職場の幸せに関する指標を向上させるために共に検討していきます。これにより、社員一人ひとりが尊重されていると実感でき、成長・帰属・貢献意識が高まることで、イノベーションを創出しやすい企業風土の醸成を目指します。

4. 生産性向上分析

UBEでは、多様な社員が能力を最大限発揮できるよう、柔軟な働き方を可能にする環境整備を進めており、その一環として、「労働時間短縮」を推進しています。また、生産性向上による成果の最大化を実現するため、業績連動型賞与制度に「一人当たりの利益指標」を採用し、この意識を全社員で共有し、持続的な成長とさらなる飛躍を目指しています。

一人あたり連結経常利益と一人あたり総実労働時間
一人あたり連結経常利益と一人あたり総実労働時間
  • (注1)1人当たり連結経常利益は、機械事業およびUBE三菱セメント(株)の損益を除いて算出しています。
  • (注2)2023年度以降の数値はパートナー社員を含めています。