環境 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応

カーボンニュートラルを含む地球環境問題への対応は当社グループにとって大きな課題であり、中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」においても、スペシャリティ化学の成長と地球環境問題への貢献については一体のものとして捉え、当社グループの持続的な成長及び企業価値向上にとって最重要課題であると認識しています。 この地球環境問題の課題解決を機会(チャンス)と捉え、スペシャリティ化学の企業グループとしてグローバルに持続的成長を図っていきます。

1. ガバナンス

当社グループでは、地球環境問題に関する課題を把握し、対策を講じる地球環境問題対策委員会を設置しています。社長が議長を務める経営会議(サステナビリティ委員会)は、地球環境問題対策委員会から報告を受けるとともに活動計画や重要課題を審議し、統括・指示を行い、継続的に対策の進捗状況を確認しています。また、重要事項については取締役会に定期的に報告され、取締役会が適切に監督しています。

ガバナンス体制図

2. 戦略

気候変動対応による低炭素・脱炭素社会への移行を前提に、2030年以降の考えられる姿(シナリオ)を複数検討し、それぞれのシナリオに沿って当社グループのリスク及び機会(チャンス)を分析し、必要とされる戦略を策定しています。

移行シナリオとして2℃シナリオと4℃シナリオの2つ、及び物理シナリオを検討・作成し、それぞれのシナリオにおける当社グループのリスク及び機会を分析しています。その結果、それぞれのシナリオにおいて、顕在化が想定されるリスクによる影響は免れられないものの、同時に顕在化が想定される機会を取り込むことによって、持続的な企業価値の向上が可能であることを確認しました。

シナリオ分析の検討ステップ

  • 各事業がどのようになるか、自家発電の操業予測を含めてシナリオごとに検討
  • 各シナリオの検討結果を基に当社グループとしての将来を分析
  • 2050年を見据えた、2030年におけるレジリエンス(強靭化)を有する長期戦略を策定

上記のシナリオ分析の結果、2030年近傍の財務的影響度の大きいものについてまとめたものが次のとおりです。

シナリオ検討結果
シナリオ検討結果

このほか、2026年度からGX-ETS(排出量取引制度)が本格的に運用開始し、2028年度から炭素賦課金が導入されることが想定されます。その影響として、20億円程度のコストアップが生じる可能性があると予想しています。

3. リスク管理

当社グループでは、気候変動対応を、リスク情報の一元管理や対策の実施状況等のモニタリングで活用しているリスク管理システムに登録し、管理しています。リスク管理システムに登録されたリスクは、それぞれの影響度に応じて経営リスク、重要リスク、ミドルリスク、マイナーリスクに分類され、経営リスクと重要(重大)リスクは、経営会議で審議された後、具体的な戦略・施策へ反映されます。

気候変動対応は、地球環境問題として経営会議(サステナビリティ委員会)で審議された内容が取締役会に定期的に報告され、取締役会が適切に監督しています。それらの過程で、当社グループ全体の気候変動に関するリスクとして識別・特定され、サステナビリティ推進部担当役員を委員長とした全社的横断組織の地球環境問題対策委員会にて、対策及び取組み方針等が立案・実施されます。

4. 指標及び目標

当社グループは、地球環境問題への取組みに関する2030年度の目標を下記のとおり定めています。

温室効果ガス(GHG)排出量 50%削減(2013年度比)
集計範囲 連結対象会社の主要事業所等のScope1 & 2
環境貢献型製品・技術の連結売上高比率 60%以上

当社グループは、2030年目途に国内のアンモニア生産を停止することを検討するとともに、スペシャリティ化学へ事業転換を図ることによって、上記のGHG排出量削減目標を達成できる見込みです。

なお、2023年度のGHG排出量は、省エネ活動等の取組みにより372万トンとなりました。これはUBE三菱セメント(株)へ移管されたセメント関連事業を除いて集計したものであり、同範囲で集計した2013年度と比較して22%のGHG排出量削減となっています。また、2023年度の環境貢献型製品・技術の連結売上高比率は47%となりました。