環境 1. 気候変動問題(カーボンニュートラル)への対応

戦略

自社操業におけるGHG排出量を削減します。GHGの排出削減に資する環境貢献型製品・技術の開発・提供に継続的に取り組みます。

目標・計画

2050年度カーボンニュートラルを目指し、中期(2030年度)目標である「50%のGHG排出量削減(2013年度比)を達成するために、事業構造改革や省エネルギー施策の実行等の事業計画を策定済みです。

意義

  • 人間活動による大気中のGHGの増加は、地球温暖化を引き起こし、気候に大きな変動を与えています。
  • この気候変動は、自然環境の急激な変化や生態系サービスの劣化にもつながりかねません。気候の急激な変化は、我々の生活や事業活動に対して極めて深刻な影響を与える可能性があり、可能な限り早期に対応することは社会的責任であり使命でもあります。

2030年度目標

  • GHG排出削減目標:50%削減(2013年度比)
  • 「環境貢献型製品・技術」の連結売上高比:60%以上

カーボンニュートラルに向けたロードマップ

GHG排出削減目標

生産活動における徹底した省エネ推進・プロセス改善に継続的に取り組むとともに、再生可能エネルギーの利用の最大化や化石資源利用の極小化等を推進します。さらに、2050年のカーボンニュートラル達成には、革新的な技術開発が不可欠であることから、中長期的な視野で、他社との協業を含めた原料の非化石化やCO2利活用技術の研究開発・実用化にも取り組みます。

カーボンニュートラルに向けたロードマップ
カーボンニュートラルに向けたロードマップ
  • トップランナー制度:省エネ法に基づき、エネルギー消費効率が最も優れた性能を示す機器・設備類をトップランナーとして指定する制度。
環境貢献型製品・技術 連結売上高比60%以上にするためのタイムライン
環境貢献型製品・技術 連結売上高比60%以上にするためのタイムライン

UBEグループでは、ISO14001:2015改訂版を基にガイドラインを策定し、環境貢献型製品・技術を定義しています。

事業構造改革

スペシャリティ製品へのシフトは、化石資源の利用極小化等によるGHG排出量削減とともに、原燃料などの市況に大きく左右されないレジリエンスな事業構造への転換につながります。UBEは、収益性・成長性の面からもスペシャリティ製品を中心とする環境負荷の低い事業構造を目指すとともに、ベーシックケミカル製品の高付加価値化や事業構造改革も進めます。

GHG排出量の多いプロセスを採用している日本国内のアンモニア生産は、2030年を目途に停止することを目指していますが、計画の前倒しを検討しています。また、エネルギー負荷が高く中長期的に収益力の改善も見通しづらい日本国内のカプロラクタムについては、2024年5月に生産を4割縮小しました。

これらの事業構造改革によって、2030年度のGHG排出量50%削減目標は達成できる見込みです。

2023年度の取り組み

SBT※1認定を取得

2023年11月、UBEグループのサプライチェーン全体での2030年度GHG排出量削減目標について、認定機関であるSBTイニシアチブ※2(以下「SBTi」)より、その基準および推奨事項への適合認定を受けました。特にUBEグループのScope1&2のGHG排出量削減目標は、地球の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える取り組みに整合することが確認されました。

目標の概要

企業のGHG排出削減に関する目標は、SBTiの定量的、定性的基準および目標検証プロトコルに従って評価され、すべての適用要件に適合するものが認定されます。今回、認定を受けた2件の概要は以下のとおりです。

基準年 目標年 UBEグループ数量目標値 SBTi目標値(下限)
Scope1&2※3 2021年 2030年 45% 42%
Scope3※3 2021年 2030年 25% 25%

Scope3の削減対象範囲は、「購入した製品・サービス」、「販売した製品の廃棄」」および「投資(持分法適用会社等のScope1 & 2 GHG排出量の出資比率分)」とします。

  • ※1SBT(Science-Based Targets):パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定するGHG排出量削減目標
  • ※2SBTイニシアチブ(Science-Based Targets Initiative):2030年までの排出量半減および2050年までのネットゼロ排出量の達成に向けた企業の取り組みを加速させることを目標にする、最新の気候科学に基づいた野心的な排出量削減目標の設定を企業に促す国際的な団体
  • ※3Scope1:事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
    Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
    Scope3:事業者自らによる排出を除いた、事業者のバリューチェーンの上流から下流に至るすべての関連する排出

GXリーグ/GX-ETSへの参画

UBEは、2023年4月にGXリーグおよびGX-ETS(Emission Trading Scheme)に参画し、同9月に2023~2025年度の3年間および2030年度のGHG排出量削減目標を提出しました。

GXリーグとは、経済産業省のGX基本構想に基づき設立された、GXを推進しカーボンニュートラルへの移行を牽引する枠組みです。また、GX-ETSはGXリーグにおける排出量取引制度であり、第1フェーズ(2023~2025年度)は自主的な取引市場として運営された後、2026年度以降の本格稼働が検討されています。UBEグループは、GX-ETSの活動を通じて情報の開示およびGHG排出量の削減に努めます。

  • GX(グリーントランスフォーメーション):化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用するための変革やその実現に向けた活動 

製品別GHG排出量データ算出のシステム化

UBEは、(株)NTTデータと共同で製品別のGHG排出量を算定するシステムを構築し、2023年1月よりシステムで算出したデータをお客様へ提供しています。UBEが提供するGHG排出量データによって、お客様におけるサプライチェーンおよびバリューチェーン全体でのGHG排出量把握が容易になり、より効率的なGHG削減対策に貢献します。

なお、現在は宇部ケミカル工場、堺工場、UBEエラストマー千葉工場のUBEグループ製品を対象にシステムを運用しています。

環境製品ブランド「U-BE-INFINITY™」をリリース

UBEは2024年4月に、環境製品ブランド「U-BE-INFINITY™」を立ち上げました。UBEグループが展開する「環境貢献型製品・技術」のうち、特に優れた環境貢献を示す開発品や製品・技術に対して当ブランドを付与することで、対象となる開発品や製品・技術の付加価値を高めることを目指しています。

ブランド名には「UBEはステークホルダーとともに無限(INFINITY)な社会発展を実現する」という思いが込められており、ロゴマークでは「地球環境問題の解決のため、現状に決して満足せず変化を続けていく」という決意をさまざまな色で表現しています。

また、このブランドは、GHG排出量の削減によるカーボンニュートラルへの貢献、再生材・バイオマスの利用などによる省資源化やリサイクルの簡易化に資する開発品や製品および技術などを対象としており、第1弾として2つの新規開発品をブランド認定しました。

なお、「U-BE-INFINITY™」については、特設サイトを開設しています。

一次サプライヤーとのエンゲージメント

UBEは2023年5月に、主要原材料における主な一次サプライヤー各社とのエンゲージメントの第一歩として、地球環境問題への取り組みに関するアンケート調査を実施しました。その結果、一次サプライヤー各社の取り組みの実態を把握するとともに今後の課題の抽出を行いました。UBEは、今後もこの活動を通じて一次サプライヤーの協力を得つつ、サプライチェーン全体の地球環境問題への貢献に努めていきます。