当社は2008年より、創業の精神「共存同栄」に基づき、「音楽を通じた地域文化振興への貢献」を目的に、日本フィルハーモニー交響楽団を創業地の山口県宇部市に招聘し、「UBEクラシックコンサート」を開催しています。
第17回UBEクラシックコンサート
今年のコンサート(ニュースリリース)
10月13日、「第17回UBEクラシックコンサート※1」(於:宇部市渡辺翁記念会館)を開催しました。当社は2008年より、創業の精神「共存同栄」に基づき、「音楽を通じた地域文化振興への貢献」を目的に、日本フィルハーモニー交響楽団を創業地の山口県宇部市に招聘し、本公演での入場料収入は地域の音楽関係諸団体へその全額を寄付しています。※2
キャッチフレーズを「市民とともに、音楽とともに」とし、次世代音楽文化振興事業として「子どもたちの教育」に視点を置いています。引き続き、宇部市・山陽小野田市・美祢市の小中学生を無料ご招待し、今年は240名がご来場しました。
今年(2024年)の公演は、全国の主要オーケストラで指揮する傍ら多くの方へ音楽に親しんでもらうための活動を幅広くされている指揮者の大井剛史氏と、ジャンルを超えた音楽性で注目を集め国内のみならず欧州の楽団とも共演されているフルート奏者の高木綾子氏を招聘しました。本コンサートとしては、初めてフルートのソリストをお迎えしての公演となり、楽曲も「モーツァルト:フルート協奏曲第2番」など初めて演奏するものが多く選曲され例年とは少し異なった雰囲気で観客を魅了しました。またアンコールのヨハン・シュトラウスⅠ世の「ラデツキー行進曲」では、楽団のリズムに合わせ観客も手を叩き会場が一体感に包まれながら幕を閉じました。音楽の楽しさを人々へ伝えることに情熱を注ぐ大井氏らしい明るく楽しい雰囲気のコンサートとなりました。来場者アンケートは、保護者の方から「子供達が知っている曲はノリノリで聴き、知らない曲も興味津々で聴いていて、親子でとても楽しめました。」など好感コメントが多数寄せられました。
また、本公演の前日に開催した山口大学医学部付属病院での弦楽四重奏「ふれあいコンサート」は大学内の改修工事のため、例年より小ぶりな会場となりましたがより間近での演奏鑑賞となり、多くの患者様とご家族、病院スタッフに楽しんでいただきました。同じく前日に開催された宇部市立中学校吹奏楽部への「音楽クリニック(主催:(公財)渡辺翁記念文化協会)」では、48名が参加しました。5年ぶりとなる対面開催で日本フィルオーケストラの楽団員による心温かい指導が行われました。
コンサート概要
日時 | 10月13日(日)13:10 開場、14:00 開演、15:45 終演 |
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出演者 | 指揮者:大井剛史 ソリスト(フルート):高木綾子 管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 |
曲目 | スッペ/〈軽騎兵〉序曲 モーツァルト/フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314 休憩 ヨハン・シュトラウスⅡ世/喜歌劇〈こうもり〉序曲 ヨハン・シュトラウスⅡ世/ワルツ〈ウィーン気質〉Op.235 モーツァルト/ディヴェルティメントニ長調K.136 ロッシーニ/歌劇〈ウィルアム・テル〉序曲 |
- ※12022年にコンサートの名称を「宇部興産グループ チャリティーコンサート」から「UBEクラシックコンサート」に変更いたしました。
- ※2今年も宇部市中学校吹奏楽部へ楽器の寄贈を実施予定ですが、今後の楽器贈呈は、中学校吹奏楽部のご希望に基づいた10年プランによる計画的な寄贈を計画しています。
UBEクラシックコンサート
地域の⾳楽⽂化向上と次世代の育成に貢献するため、2008年より⽇本フィルハーモニー交響楽団を⼭⼝県宇部市(於:宇部市渡辺翁記念会館)に招いて開催しております。
2022年より、「市民とともに、音楽とともに」の基本コンセプトは踏襲しつつ、次世代音楽文化振興事業として「子供たちの教育」に視点を置いて大きく事業内容をリニューアルしてお届けしています。
その一つとして、次世代を担う方々に本公演を通じて少しでもクラシック音楽に興味をもっていただければと考え、宇部市・山陽小野田市・美祢市の小中学生400名を無料ご招待させていただいています。
また、皆様からのチケット売上による収益金の全額は地域の音楽文化向上のため寄付させていただいており、今後も中学校吹奏楽部の活動支援のため引き続き楽器寄贈を実施してまいります。
なお、本コンサートの前日には、病院での患者様を主に対象にした「ふれあいコンサート」を実施しています。
UBEクラシックコンサートのあゆみ
第1回(2008年) | 地域への社会貢献活動として、創業者渡邊祐策翁の功績を記念して建てられ国内外の多くの著名な音楽家による公演がなされてきた宇部市渡辺翁記念会館を会場に、「宇部興産グループチャリティーコンサート」の開催を始めました。子供向けの夏休みのファミリーコンサートとして実施しましたが、来場者の多くが大人だったことから、翌年から秋のクラシックコンサートとして開催することになりました。 |
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第2回~第9回目 | 当社の独自プログラムとして、「作曲家シリーズ」をお届けしました。 |
第4回(2011年) | ゲネプロ(最終リハーサル)に小中学生を無料招待(以後継続。第10回以降は本公演招待等に変更)。 |
第5回(2012年) | ゲネプロに、聴覚障がい者を招待、ボディソニックを採用(以後継続)。 |
第10回(2017年) | 記念公演として、プレミアムイベントを企画しました。コンサートのチケットを購入いただいた方から抽選で、(1)「音楽トーク(オーケストラのお話)と楽器体験」に60名、(2)「ゲネプロ(最終リハーサル)見学」に100名を招待、(3)宇部市内中学生 約100名を本公演に無料招待(ゲネプロから本公演招待に変更)。 |
第11回(2018年) | 本公演への、宇部市内中学生 約100名無料招待を継続しました。 |
第12回(2019年) | ソリストのサイン会を実施しました。 |
第13回(2020年) | 新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した上での開催を行いました(一例:定員席の20%による、1日2公演)。 |
第14回(2021年) | 新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した上での開催を行いました(一例:定員席の50%)。 |
第15回(2022年) | UBE株式会社の社名変更、および当社は設立80周年、創業125周年の節目の年であることを鑑み、開催目的を子供の音楽教育(学校教育)支援により重点をおくこととし、コンサート名を「UBEクラシックコンサート」に変更しました。 本公演招待は、宇部市・山陽小野田市・美祢市の近隣小中学生に対して実施します。多くの子供たちがクラシック音楽に触れる機会を広く提供し、音楽教育を通じて子供たちの成長を支援することを目指してまいります。これは、SDGsの社会課題「目標4. 質の高い教育をみんなに」への貢献に繋がると考えております。 |
第16回(2023年) | 指揮者の広上様は2020年、協奏曲による休憩なしでの1日2公演、客席を定数の1/4の250席程度に絞るなど、新型コロナウィルス感染防止対策を徹底して開催した第13回の本コンサートでも指揮をされました。今回は交響曲を含むプログラムで待望の再登壇となります。ソリストの荒井里桜様はYouTubeを通じてヴァイオリンの魅力を親しみやすく発信するとともに、メディアにも多数出演されています。 |
第17回(2024年) | 本コンサートにおいてフルート奏者をお迎えするのは初めてとなります。 |
音楽クリニックとミニコンサート
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「UBEクラシックコンサート」の前日、日本フィルハーモニー交響楽団の講師陣をお招きし、宇部市内中学校の教室や体育館で吹奏楽部の生徒への楽器指導「音楽クリニック」や講師陣による「ミニコンサート」と中学生との「合同演奏会」を実施しています(主催:公益財団法人 渡辺翁記念文化協会。協力:UBE株式会社)。2020年・2021年は、新型コロナウイルス感染防止のため、リモート※での音楽クリニックに変更して開催しました。対面指導では音や楽器の状態をしっかり確認しながら指導でき、リモート指導では個々人の課題に合わせた指導ができるという良さがそれぞれあります。当社は、「UBEクラシックコンサート」に関係する本イベントの開催について、人的資本の活用を含め全面的に協力しています。
- ※オンライン会議ツールZoomを使用したマンツーマンレッスン
受講生からのコメント
- 音の出し方や、“音楽的に吹く”ということなどを教えてもらったので、クリニック後の合同演奏で綺麗に吹くことが出来て良かった(ホルン、中学2年生)。
- 高い音が出たことがなかったけれど、教えてもらって初めて出すことが出来ました。大満足です。(トランペット、中学1年生)
第10回「UBEクラシックコンサート」~記念コンサート~
第10回記念となる2017年の指揮者は4年ぶりに2回目のタクトを振った藤岡 幸夫さん。ソリストには第12回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門第1位の実績を持つ実力派ピアニストの上原 彩子さんを迎え、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18」とチャイコフスキーの「交響曲第5番ホ短調作品64」が演奏されました。冒頭、指揮者の藤岡さんによる曲目解説と上原さんの紹介があり、(有)リベルタス興産の正司 浩美さんが手話通訳を務めました。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、昨年の来場者アンケートで最も多くのご希望が寄せられた曲です。フィギュアスケートの浅田 真央選手がソチオリンピックのフリーのプログラムでこの曲を演技したことでも話題になりました。
ピアノの難曲として知られる名曲ですが、上原さんの圧倒的なテクニックと、何かに取りつかれたような強烈なタッチ。高音のめくるめくような美しさ。オーケストラとのスリリングな真剣勝負。まさに一期一会の快演でした。
この日の上原さんはソリストとしては異例のアンコールにも応えてくれました。アンコール曲はチャイコフスキーの瞑想曲。うっとりとピアノ独奏に浸れる時が流れました。
20分の休憩をはさんで、後半はチャイコフスキーの交響曲第5番。藤岡さんが「日本フィルと初めて5番ができてうれしい。日本フィルの豪快なサウンドは、ロシアものでは日本一のオーケストラ」と語っていたように、壮大なスケールと抑揚に富んだダイナミックな演奏。とくに第4楽章は、藤岡さんが「普通じゃない、悪魔が宿ったような演奏になれば」と宣言したとおり、鬼気迫るサウンドで大団円を迎えました。
アンコールはチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」から第2楽章「ワルツ」。まるで魔法にかかったみたいに、魅惑のリズムに酔い痴れました。
第10回を記念して、同日、本公演の前に、①「オーケストラのお話しと楽器体験」、②「ゲネプロ(最終リハーサル)見学」という2つの「チャリティーコンサートプレミアムイベント」を実施しました。
- ①「オーケストラのお話しと楽器体験」には35名が参加。日本フィルの常務理事でありヴィオラ奏者の後藤 悠仁さんが、オーケストラの構成、楽器の仕組みなどについて面白く解説してくれました。楽器体験では初めて弾くバイオリンの感触に大喜びする人もいて盛り上がりました。
- ②「ゲネプロ見学」には抽選の当選者100名と、宇部総合支援学校等に在籍する障がい児30名(保護者・引率含む)が招待され、本番前の最終リハーサルを見学しました。今回も聴覚障がい者のために、パイオニア(株)様のご協力とリベルタス興産の連携により、「体感音響システム」の席を5席用意してゲネプロと本公演で使用しました。
本公演前日の7日には「山口大学医学部附属病院」と「宇部興産中央病院」にて「ふれあいコンサート」が開催されました。前回までは弦楽四重奏(ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ)の演奏会でしたが、今回初めて木管五重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)を楽しんでいただきました。中央病院では患者さまのほか一般市民の方にも参加いただけるように、前回に続いて「第2部たんぽぽコンサート」を実施し、130名の来場者で満席となりました。同じく7日、東岐波中学校において、公益財団法人渡辺翁記念文化協会(代表理事(当時):竹下 道夫)の事業の一環として、日本フィルのメンバー8名と宇部市内の中学生(東岐波中・西岐波中・厚南中)による「地域ふれあいコンサート」が開催されました。
第1部の「音楽クリニック」には市内3中学校の吹奏楽部員118名が参加。トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバ、クラリネット、フルート、打楽器の各教室に分かれ、日本フィルのメンバーが個々の楽器を心温かく指導しました。
第2部はミニコンサート。日本フィルによる金管五重奏並びに中学生との合同演奏が地域の方々に一般公開されました。合同演奏の課題曲は前回まで「士官候補生」でしたが、今回は「ジブリ・ソングス」に変更されて初めての演奏。330名の来場者から大きな拍手が送られました。